今回は、過去の22回 (←!!) の記事の総集編。
過去記事全部読むのは面倒臭ェよ、と云う人も、この記事を見れば何をやったか概ね判る筈?
より詳しく知りたい、という奇特な方は、各項目に張ったリンク先を読まれたし。
キットの概要
「樅」のキットのチェックポイントは大きく分けて2つある。
ひとつ目は、船体寸法の読み間違い等により、全長と水線幅が不足しているのに対し、乾舷や砲座はやや高く、腰高なシルエットになってしまっていること。
クリックすると拡大。素組状態との比較。キットに比べて、少し足が速そうに見える?
写真でお判りの通り、キットは寸足らず故に、おもちゃ的と云うか、可愛らしいシルエット。
正確さにこだわりが無いなら、これはこれで立体物としては良い味わいが有る。
ちなみに煙突と前後檣の傾斜は、模型映え優先でやや強調しており、実はキットの方が正確。
もうひとつは、「樅型」と、箱替えの「若竹型」、そして、一般計画要領書記載の「蔦型」※の3形式の区別が曖昧なまま、折衷的な設計になっていることである。
今回の製作では、製作序盤で判明した上記問題の解消+スケールなりのディテールや仕上のバランスをどうとるか、という部分を主題に作ってみた。
これもクリックで拡大。左から、「蔦型」の「蓮」、「樅型」の「栂」、そして「樅」の素組。
拡大シリーズ最後。スクラッチに近い事をしたような気がしていたが、こうしてみると意外とキットの形状が残っているような。
船体
延長前と並べると、割と印象が違う。
- 公式資料の値に基づき、全長を後部煙突後ろ辺りで約5mm延長。
乾舷を下げて、腰を落とした感じに。
- 戦時中の「若竹型」の「芙蓉」の写真を参考に、乾舷を約1.5mm程度低く。
- 上記全長と公式図面の比較から、最大幅を上甲板で約0.6mm、水線部で約1.5mm幅増し、また、水線部の前部発射管横あたりを約1mm幅増し。
凸モールド以外でリノリウム目地表現をしてみたかった。
- リノリウム甲板の目地は、プラストライプの2.5mm幅を敷き詰めることで凹モールド+スミ入れで表現。
- 上空写真から、缶室右舷の鉄甲板部分にはリノリウムの通行帯があるのが判るので再現。
- 舷窓は、モールドが浅く位置も違うので空け直し。
艦橋・上部構造物
奥が「蔦型」手前2隻が「樅型」。艦橋内部も、機銃パーツ等で多少ディテールを入れてみた。
- 「栗」「栂」はキットの天蓋をゲージに下部を作り直し、「蓮」は全く形状が異なるため総てプラ板で作り直し。
- 羅針艦橋窓を、エッチングで中空化。
- 艦橋頂部の測的所を自作。
- 前後檣は伸ばしランナーと0.3mmプラ棒で作り直し、軍艦旗はラベルシールから自作。
上部構造物の形状そのものは、単純な直方体の集まりなので、作り直しはさほど難しくない。
- 船体延長に伴い、缶室ケーシングと3番砲座下の構造物はプラ棒で作り直し。
- 煙突は突出しピン跡が目立つのと、頂部延長が大変なのでプラ棒で作り直し。
- 0.2mm鉛線と伸ばしランナーで伝声管を追加。
砲熕 (ほうこう) 兵装
砲座の段落ち修正は、手間が掛からない割に見た目の印象が変わるのでおススメ。
- 各砲座とも位置や形状が変なのでプラ板で新造、1番砲座のグレーチングはデカールで表現
- 主砲は真鍮挽物砲身+ピットロード (以下、「PT」) の旧装備品セットで、削り込みで盾の前期型と後期型を作り分け。
- 6.5mm機銃はオーバースケールなので、ナノドレッドの25mm単装機銃を小型化して使用。(製作記事で触れるの忘れてた)
水雷兵装
- 魚雷はPTの新装備品セットの間隔を詰め、旋回盤を追加。
- 予備魚雷函が無いので、プラ棒とエッチング扉で自作。
- 船体延長で消えた魚雷運搬軌条を、0.3mmプラ棒で再生。
意外と艦毎に装備が違う。
- 機雷敷設軌条を0.3mmプラ棒で新造。
- 「栗」「栂」は爆雷投射機を一対、PT新装備セットから追加。
- 「栂」は大掃海具をナノドレッドから追加。
- 各艦、異なる位置に小掃海具浮標があるので、PT装備セットの爆雷パーツを加工して追加。
短艇
- 前述の全長問題のために短艇類も小振りなので、各社装備品セットで近いサイズのものを切り詰めて使用。
仕上げ
一覧にしてみると、思いの外、使っている色が多いな。
- 衣島 尚一氏の「軍艦の塗装」を元に、空気遠近法を加味した色合いで塗装。
- 現役の艦艇は写真を見ると意外に汚れていないので、錆表現はせず、緩やかな水垢表現にとどめた。
ダイジェスト版でも長かった……。
なんつーか、武装パーツを使ったセミスクラッチだよね、コレ。どうしてこうなった。
それでは、まとめの最後に、開始当初の私の戯言で締めてみよう。
数年ぶりに模型製作 – 1/700で樅型駆逐艦をつくる: 序より、「そこそこ省略の効いた小スケールのフネを~」
そこそこ省略……ねえ?
>昨日ぐらいから、ブログのアクセス数が突然倍以上に増えていて、戸惑いを隠せない。
何があったし。
燕雀洞様初めまして、艦艇模型好きで当サイトの連載を楽しみにしている者でbingenと申します。
すいません、昨日某大型掲示板で「樅型駆逐艦を作りたいが資料が無い」とのカキコがあったので「このサイトが参考になるよ」と書き込んじゃいました。恐らくアクセスの急増はそのせいではないかと。お気に障られるようでしたら謝ります。とりあえず不安に思っていらっしゃる様でしたのでご報告まで。
bingen様
はじめまして。
コメントありがとうございます。
なるほどなるほど、そういった経緯でしたか。
一日数十アクセスの泡沫ブログですので、ご紹介いただく分には大歓迎でございます。
自分も日々資料不足に悩まされておりますので、多少なりとも誰かの役に立てるようでしたら幸いです。
かなり不定期ですが、これからも模型製作の息抜きなどの折にお読みいただければ幸いです。あと、ご紹介いただく分には (以下略