現在発売中の月刊ホビージャパン9月号に、アオシマの新版空母「イラストリアス」を掲載していただいた。本連載では、字数の制約で記事には書ききれなかった詳細工程を紹介してゆこうと思う。
実は今まで空母を完成させたことがなく、英国艦も初めて、さてどうなることやら。
まずはキット概要から。
キットは昨年暮に発売された新製品で、「アークロイヤル」、「ハーミーズ」に続く一連のアオシマ英空母新キットの流れにあり、また英空母リニューアルとしては初。
ボート類や一部艤装は前作と共用化しつつ、アオシマらしい簡潔なパーツ割でまとめあげられている。年代設定としては竣工時から大戦前半の姿だが、一部形状やマーキング指定に大戦後半や戦後状態との混乱がみられる。
メーカー完成見本の迷彩塗装が有名だが、竣工時~タラント空襲辺りまでは単色塗装。
今回は「イラストリアス」の戦歴の華、1940年のタラント空襲時として製作する。イラストリアスは同年5月に竣工したばかりで、形状、塗装とも竣工時のまま、変化がみられるのはその後1941年初頭あたりからである。
また、編集部からのオーダーで純正エッチングパーツを使って欲しいとのことだったので、併せて使用。
同社のキットの常でプラパーツは断面や線材がやや太めでエッチングパーツをそのままつけると浮いてしまう。製作コンセプトとしてエッチングパーツを基準に解像度を整える感じで上記の太さや厚さを如何に解消するか、と云うのを主としたい。
メーカー完成見本と同アングルから。基本形状はキットから全く変えず、ディテールの解像度を純正エッチングパーツに寄せてゆく。
資料面では、語学力の問題から日本艦と異なり公式図面の入手が難しく、「Anatomy of the Ship」のヴィクトリアスに範をとることとする。また、「ARMOURED AIRCRAFT CARRIERS IN WORLD WAR II」に同型艦含めかなり豊富に写真が載っており、ディテールは同サイトの写真を主に参考とした。
では次回から、具体的な工作に触れてゆこうと思う。