精細な彫刻ゆえかフライホークのプラはかなり柔らかい。ある程度の年齢の方ならビッグワンガムっぽい感じの軟質プラと云うと伝わるだろうか。この弊害が顕著に出てしまうのがマストで、限りなく細く成形されているがゆえに曲がりやすく歪みやすい。
そして豪華版のエッチング製トップマストを付けると、どうしてもプラ部分の太さが目立つのは否めない。
実物とプラパーツ、金属線置き換え後の比較。多少太目ではあるものの纏まりはよく、トップマストをエッチング化しないならプラパーツのまま作るのもアリ。
そこで、作例では前檣三脚部以外を金属化し、スリム化しつつ強度と精度を稼いだ。いつもなら1/700原寸大に印刷した図面や写真から線材の太さを決めるのだが、今回は幸いにも同型艦「キングジョージ5世」の図面にマスト各部の主要寸法が記されており[1] 、概ねそれに倣った。
mainmast (後檣) 三脚部は見かけの長さではなく、構造上の基部となる最上甲板からの長さであるのに注意。
今回は主柱の径についてはテーパーを再現したが、横桁と斜桁については加工が難しくテーパーは省略した。腕に自信のある方は、横桁を0.3mm材をベースに両端を0.1mm径くらいまで削り込むと、よりリアルになるだろう。
前檣の各部寸法。
後檣の各部長さ。三脚部がキットより若干高くなり、逆に主柱上端は若干下がった。
後檣の各部径。前檣クロスツリーは純正エッチングのままだが、後檣のそれは違和感があったので一部プラ材に置き換えている。
今回は珍しく、本文短めのほぼ画像。最初は煙突と艦橋まで含めるつもりだったのだが、マストの寸法図が意外と大変で力尽きてしまった……本業が年度末進行で死に掛かってるので、暫くは薄い記事になるかもしれない。
写真引用元
- 『第2次大戦のイギリス戦艦 世界の艦船 2004年11月号増刊 第634集』海人社、2004年、77頁
参考書籍
- John Roberts『BRITISH WARSHIPS OF THE SECOND WORLD WAR』Seaforth PUBLISHING、2017年、36頁 ^1