プロポーション、二兎を追っては一兎半 – 1/144でHGオリジン版ガンダムをプロトタイプガンダム風に作る: 1

HGオリジン版RX-78、イマドキっぽいと云えばそうなのだが、全体に子供っぽいバランスで巨大感が無い。これを最低限の加工で何とかし、あわよくばカトキ版78にも似せていきたい、と云う二兎を追うのが今回のお題。さて、無事兔は獲れるのか。


まずは素組でバランスを見る。そして、私はカトキ信者なので78と聞くとすぐセンチネル0079版と較べてしまう。

HGオリジン版RX-78とセンチネル0079版RX-78の比較
同じカトキ版でも、何故オリジン版キット開発画稿と較べない!?

両者を並べるとまず目を惹くのが頭のサイズと下半身のボリューム感。0079版画稿はパース稿と云うのもあるが、手足の末端に行くほどボリュームがあり、頭は小さめで巨大感がある。
一方でHGオリジン版RX-78は全般に細身で頭がやや大きく、子供のような印象を受ける。尤も、0079版の10数年後に描かれたキャラクターモデリング版画稿も同様に細身化しており、その後のオリジン版キット開発画稿でも更にその傾向は増している。

センチネル0079版RX-78とキャラクターモデル誌版RX-78の比較
顕著な差はパンツ部分の小型化と手足の細さで、0079版の筋肉質なバランスから、細く抑揚の少ない少年的シルエットになった。

ただまあ、完全にカトキ画稿のプロポーションに寄せようとするとスクラッチになるうえ、序で書いた通り、皆で同じキット作って並べようぜ、な企画なのでサイズ感が変わりすぎるのも宜しくない。故に、出来るだけポイントを絞ってエッセンスを取り込んでゆく。

頭は小顔に

HGオリジン版ガンダムの頭部修正
削り込みは下端のみで上半分はそのままだが、顔が小さくなるだけで全体が縮んだように感じられる。初代Sガンダムキットの頃より伝わる、由緒正しいセンチネル作法である。

頭はヘルメットと云うより、顔部分の比率の方で大きめに見えている印象があるので、顔パーツとヘルメットの下端を削って一回り小さくする。削った分、首のポリパーツの貧弱さが目立ってしまうのでプラ板で囲って肥らせている。

HGオリジン版ガンダムの首回り改修
最終的に半分くらい影になるので、ディテールは入れずシルエットのみ。

間延びした腹を引き締める

胴体は脇腹の赤いとことコクピットブロックが妙に細長く、シルエットが貧弱になっている。脇腹パーツ上下の接合面で2~3mm、バランスを見つつ現物合わせで削り、コクピットブロックは0079版に寄せるため脇腹下端から少し上まで下から切り詰めている。

腰はかぼちゃパンツをミニスカートに

HGオリジン版ガンダムの腰回り改修
向かって左のスカートが幅詰め前、右が幅詰め後。コクピットブロックと脇腹の下端が横イチに繋がらず、褌が上にオフセットされているのがカトキ版78系の個人的萌えポイント。

腰は0079版っぽく見せる際の要だと思っている。まず褌を十字に割り、間に1mmスペーサーを入れてコクピットブロックと同じ幅になるまで広げ、下端は弄らず上方向に1.5mm延ばす。この延びた部分が前述の縮んだコクピットブロック部分と噛み合う。逆に、腰アーマーは前後とも側面を1mmほど削り横幅を詰め、全体として見れば全幅はスリムになっている
縦方向は中央部で2mm、下端で1mm伸ばして、褌と長さを揃える。個人的0079版似せポイントとして、素立ちで似た高さに来る褌、腰アーマー、前腕の長さがほぼ同じってのがある。

脚は見えないところを伸ばす

前述のコクピットブロックの短縮によって褌の位置が上がり、またスカートも伸びているので見かけ上の太腿が短く見える。これを打ち消すために、太腿付根と外装ブロックの境目に1.5mmスペーサーを挟んで延長している。全体として、胴が縮んだ分だけ脚が延びているので、見かけ上背は伸びたように思えるが実は元キットと身長は同じ

腕は長さを変えずに間延び感を消す

0079版の頃のカトキデザインの特徴として、大きな肩と前腕に対し、短い上腕と云う点がある。キットはその3者がほぼ同じボリューム感で、特に上腕の長さゆえの間延び感がある。先ほどの身長の場合と同じく、上腕を1mm切り詰めた分、前腕をスペーサーで延ばして全体の長さを変えずにバランスのみ弄っている。また、肩は前面の形状はそのままに断面部を斜めに延長し一回り大きく見せている。これによって上腕が隠れ、更に短く見えるので。
手首はMSハンド3の甲を削り、一回り小型化したものに。キットが子供っぽいバランスに見える一因として、手首のサイズ感があると思うんだよな。腕全体の長さは同じでも、手首が大きいと腕が短く幼い感じに見えてしまう。

HGオリジン版ガンダムのプロポーション修正
元キットと較べると、小顔化で等身が上がり、腰の位置を上げたので相対的に手足が長く見える。同じ身長なのに背が高く見えるようになったと思うのだが、どうだろう。

プロポーション改修したHGオリジン版RX-78とセンチネル0079版RX-78の比較
0079版との比較。一応お手本にはしたのだが、ガチ改修ではないので並べると下半身の貧弱さが気になる……。


今にして思うと、もうちょっと思い切って下半身をデカくした方が格好良かった気がしなくもないが、当時は半年くらいで〆るイベントの予定(その後、件の疫病禍で〆切はグダグタに)だったので本当に最低限のところだけ、と云った感じである。
まあ前述の通り、やりすぎるとスクラッチになってしまうので「オリジンガンダムで」カトキ風プロトを作る、と云うコンセプトでの塩梅としてはこれくらいが程好いのかもしれない。子供体型は解消できたがカトキ版としては煮え切らず、二兎を追って一兎半、と云ったところか……って半兎って何!? ちょっと怖い。


画像引用元

  • 『カトキハジメ デザイン アンド プロダクツ アプルーブド ガンダム』角川書店、2003年
  • 『月刊モデルグラフィックス 1990年7月号』大日本絵画、1990年

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