船体側面の情報を整理する – 1/700で初代空母イラストリアスをつくる: 1

8月は職探しに関する諸々と夏バテで全く更新できなかった……やはり夏には弱いし、食い扶持を確保しつつ定職を探し、と、意外と無職と云うのは忙しい。それはさておき今回から工作編、まずは定石の船体から。
大きな問題はなさそうだが、飛行甲板との境目がなんかあっさりしすぎているような……? と写真を子細に眺めてみたら、意外と面倒だった。


基本形状に大きな問題はなく、特に艦首フレアとナックルのラインはアオシマらしくメリハリが利いて美しい。
ただ、個体によって当たり外れがあるのか、私の入手したキットは飛行甲板が船体より1mmほど長く、そのまま無理に合わせると船底が大きく反ってしまう。仕方ないので2箇所で切断して、0.5mmずつ詰める。1箇所でまとめて詰めると、舷側の高角砲座の切り欠きの位置が合わなくなってしまうのだ。

アオシマ新版イラストリアスの甲板長修正
同じキットでも短縮せずに問題なく組めた人もいるようで、どうも個体差がある模様。

右舷側面には余計なモールドがふたつ、いずれも切り取ってしまう。ひとつめは艦首水線付近の喫水標、もう一つは艦橋直後のラッタルだ。

アオシマキットの常として全体に甲板断面や柱の類が厚めなので薄くする。舷側開口部の柱部分は縁を内側から薄く削っているが、ほぼ判らないので、厚み部分をダークグレーに塗るだけで充分かも。後部短艇甲板の張り出しは上面を削って薄くしている。こちらは目に見えて精密感が増すのでおすすめ。左舷の筏用の足場状のものは、断面を削るより、一度切り離して薄いプラ板で作り直すほうが楽。

舷窓は全体に浅いので、0.3と0.4mmドリルでさらって深くしている。
艦首のシアーがきつい部分の舷窓は抜きの都合で楕円になってしまっているが、横から見るとさほど気にならなかったのでそのまま。

起倒式無線檣は純正エッチングパーツ (以下、「純正EP」) だと四角錐だが、実際は三角錐。更に厳密には、基部は四角断面で、上部2点が途中で合流して三角断面になる。

「イラストリアス級」の無線檣基部: 年次不明
ちょうどポンポン砲の影に隠れているが、よく見ると上面で四角断面から三角断面に変化している。

四角から三角の変化を再現するのは大変だが、ただの三角錐にするだけなら簡単、4面のうち1面を切り落として接着するだけで、ボリューム感も問題なし。
接着しろがなくなるので、プラ棒を基部に仕込んでいる。

アオシマ新版イラストリアスの起倒式無線檣断面の修正
日本艦の起倒式無線檣は四角断面なので、先入観で設計してしまったのだろうか……?

基部のパーツは舷側に沿うのではなく、取付面が鉛直になるのが正解っぽいので、後部の舷側が傾いている部分のものは適宜プラ板でスペーサーを入れている。

アオシマ新版イラストリアスの起倒式無線檣基部
純正EPの説明書はこの辺りの説明が曖昧で、舷側に沿わせて傾けて取りつけないように注意。

甲板と船体の境目は実物がゴチャっとしているのにキットはなんかツルっとしている。実物の写真をよく見ると転落防止網や待機所のようなものが左舷全体と、右舷後部にあるようだ。写真とアナトミー・オブ・ザ・シップのヴィクトリアス図面[1] を参考に、プラ材でそれらしく。寸法は写真からの目見当で、高さ2mm、幅1.5mmで、0.3mm角棒で枠をつける。ここは自信がある人なら中空で枠だけで組んでやるほうがそれっぽいかも。

「イラストリアス級」の転落防止網と待機所: 艦名・年次不詳
基本的な箱組み技術があれば難しくはないが、とにかく数が多くて面倒。

アオシマ新版イラストリアスの完成見本
ディテールアップしたアオシマ新版イラストリアス
前回の同アングル比較再掲、キットには転落防止網が無い所為で船体上端が妙にツルッとして見えるのが判る筈。


転落防止網、何故か飛行甲板後端のものだけは再現されており、どうして他が省略されたのか謎。純正EP使用前提と云うならまだ判るが、そっちにも入ってないのだ。自作は地味に面倒だったので、アフターパーツの発売が望まれるところ。序盤の段階でこれ、やはり空母はカロリーが高い。


写真引用元

参考書籍

  • Ross Watton『The Aircraft Carrier Victorious (Anatomy of the Ship)』Naval Inst Pr、1991年、52-53頁 ^1

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です