アオシマ新版イラストリアスの2回目は艦橋~煙突にかけてのアイランド回り。
地味に細かな修正点が多いが、基本形状に大きな問題はないので気にならない人は適宜スルーされたし。
前回、飛行甲板と船体の長さが合わなかったように、どうもこのキット、最近のキットにしては合いがイマイチ。艦橋基部と2番ポンポン砲座側壁の合わせ目にも結構な隙間があるが、勿論実物にこんな隙間は無いので埋める。
飛行甲板側にモールドされている側壁前半部は厚さが目立つので、そこの処理も併せて行わねばならぬのがちと難儀。いや、義務ではないのだが、この手の厚みは一か所でも残るとスケール感が一気に削がれるので、個人的にはお手軽ディテールアップでも外せない。
その前にある1番ポンポン砲座にも薄い側壁がある筈なのだが、どう云う訳か低いリブ状モールドなので、キットのモールドをゲージに、その外側に0.25×2mmプラ板で側壁を追加。
本当は、キットのリブ状モールドは削り取らねばならないが、目立たないのでそのまま残した方が強度的に安定する。
艦橋は基本形状そのものは良く似ていると思うが、前述の基部の他にも左右分割のために正面窓が無かったり、ツライチになる筈の上段と中段の前半部に隙間が空いたり、全般に精度面に難がある感じ。正面窓の内、下段は他の窓よりやや天辺が低く、ほぼ正方形なので再現の際は注意のこと。
解像度が荒いので詳細が判り辛いのだが、イラストリアスは知名度の割に艦橋周りの鮮明な写真が少ないのだ。
前述の基部の合わせ目はこんな感じで目立つ隙間が空く。アウトラインは弄っておらず基本的には重箱の隅なのだが、中央の窓が無いのは目立つので修正しておきたい。
説明書に特に記載はないが部品E3はポンポン砲の射撃指揮装置で、1基ずつ対応して同じ向きを向くので注意。艦橋の3つは、対応のポンポン砲が説明書では右舷に指向しているので、本来ならE3も右に向かねばならない。(偉そうに書いているが、私もfake johnbull氏に指摘されて初めて知った)
連動と云えば、これもfake johnbull氏の受け売り豆知識。前後マストの頂部にある79型レーダーは回転式で写真によって向きはまちまちだが、一方は送信でもう一方が受信のワンセットで一緒に回るので、必ず前後とも同じ向きになる。
後檣の高さ違いは意外とシルエットに影響するのだが、高さが明確に判る写真が少ない。
そのマストだが、後檣の解釈に混乱が見られ、形状は竣工時なのだが、高さが大戦中期以降のものになっている。艦橋各甲板の高さから割り出した推定値では、マスト頂部までが19.5mm、下段頂部までが13mmくらいと思われる。
また、上段はプラ成形の限界で前後とも太めで、純正エッチングパーツ (以下、純正EP) にある、前述の79型レーダーを取りつけると太さが不均一でちぐはぐな印象になってしまう。(しかも何故かレーダーの一部だけがプラで成形されている) 純正EPのレーダーの太さに合わせて0.2mm真鍮線と伸ばしランナーでトップ檣を新造した。前檣の中段の菱形アンテナは純正EPにも用意されているが、写真と較べるとかなり小さいので伸ばしランナーで自作した。
菱形アンテナの形状が判る数少ない写真。掲載元のキャプションでは1944年とされているが、艦橋形状や迷彩の状況から1941年以前のように思える。
煙突はいつも通り、シルエットを損ねる雨除格子をカットするとともに、内部から小煙突が生えているので0.8mmプラ棒で再現。写真やアナトミーのヴィクトリアス図面から推定するに、煙突中央から小煙突1本分くらい右舷にオフセットされ、前後位置は右舷の梯子から同じく小煙突1本分くらい後ろにあるようだ。
あまりダメ出しばかりに終始するのは読んでて楽しくないので極力避けるようにしている (そうか?) のだが、前回の飛行甲板といい、今回といい、事ある毎に合いが悪いと書いてる気がする。近年のアオシマの艦船キットは幾つか組んでいるが、テストショット含めてパーツ精度の低さが気になった事は無かったので、意外である。
WLシリーズがまだ4社だった頃、海外艦の売れ行きが悪くシリーズが失速したと云う話を聞いた事があるが、そのあたりで細かな調整まで予算が充分に取れなかったりするのだろうか。シルエットは良好なだけに素直に組みあがらないのは勿体ないなあと思う。
【お礼】
春園燕雀様
はじめまして。
いきなりのコメント申し訳御座いません。
モデルアート誌でイラストリアスの作例を担当させていただいた宮﨑と申します。
イラストリアスの資料をネットで検索している中で此方のサイトにたどり着きました。
改めて自分のリサーチ不足を痛感するとともに貴重なネット資料も知る事が出来ました。
アオシマのキットには自分なりに再挑戦したい気持ちが強く、その際には此方のサイトで頂いた情報を是非参考にさせて頂きたいと考えています。
お礼を兼ねて書き込みさせて頂いた次第です。
今後とも是非参考にさせて頂きたく宜しくお願い致します。
宮﨑さま
はじめまして、コメントありがとうございます!
MA誌の作例、大いに参考になるとともに、後発だけに単なるデッドコピーになってはならぬ、とプレッシャーの中での製作でした。
以前から英国艦には興味がありタミヤのV級駆逐艦などを買い集めて資料蒐集などはしていたのですが、ちゃんと作るのは初めて、しかも空母作るのも初めて、と初めて尽くしで、リサーチに関しては文中の偽ジョンブル氏をはじめ、先達に多大なる助力を頂いた結果のものです。
HJ誌では紙数の都合で書ききれなかった情報が結構出てしまったので、できればこちらでフォローしてお役にたてればなと思っております。
また、前述のとおり、まだまだ英国艦初心者でございますので、誤謬などありましたら遠慮なく御指摘ツッコミ頂けましたら幸いです。
今後とも宜しくお願いいたします。
春園燕雀様
おはようございます。
ご丁寧なお返事、大変恐縮です。
偽ジョンブル様の事も存じ上げていましたが何分ツイッターをやっていないのでお話しする機会も無く、ただただ膨大な英国艦への知識に羨望の眼差しで拝見しておりました・笑
自分も英国艦は好きですが何分知識が乏しく憧れと勢いだけで作っている状態です。
今後も春園様のサイトや偽ジョンブル様のツイッター等を通じて英国艦を始め様々な艦の知識を蓄えさせて頂ければと思います。
此方の方こそ何卒宜しくお願い致します。