先年のイラストリアスに続く、HJ誌の英国艦作例はなんと戦艦、しかも箱を開けただけでお腹一杯になると評判のフライホーク (鷹翔模型) の新キットであった……と云っても製作が一昨年、誌面掲載が昨年で今やニューキットでもないのだが。普段の作風とは全く違うこのコテコテ濃味キット、さてどう料理したものか。
画像クリックで拡大。ディテールの細密さが話題に上りやすいメーカーだが、シルエットの把握も秀逸である。
まずはキット概要から。
キットはフライホークによる完全新金型のキットで、作例受注した2018年 (平成30年) 春に最終時のキットが発売され、同年秋に一部パーツを変更してデンマーク海峡海戦仕様も発売された。
メーカーサイトのモデルデータCG。プラパーツを組むだけでこの精細さは中々凄い。
今回使用したキットは、先発の最終時仕様に挽き物砲身やエッチングなど自社製アフターパーツをフルセットした「豪華版」。
私の製作ペース的に掲載時点では他誌作例が出揃っているであろうことを鑑み、少し捻ってデンマーク海峡海戦時として製作した。着手時点では未発表だったがその後、そのものズバリのキットが発売されたのは前述の通り。
同じくメーカーサイトより「豪華版」のボーナスパーツ。挽き物、エッチング、レジンと、胸焼けしそうな「全部乗せ」だ。
あと、最終時を避けたのは戦歴的に一方的な「斬られ役」でしかなかったマレー沖海戦時は食指が動かなかった、と云うのも大きい。
デンマーク海峡戦も負け戦ではあるものの、PoWの放った一撃による傷は最期までビスマルクの足枷となり、何より「戦艦らしい戦」だったと云う点で、PoWを作るならこの設定年次以外に考えられなかった。
今回の主題は大きく二つ。ひとつは、最終時とデンマーク海峡海戦時の相違の洗い出しと再現、そして、豪華版パーツとプラパーツで若干揃ってない感のあるディテールの整理だ。
特にエッチングパーツは同社らしい繊細さにあふれた表現なのだが、それゆえにプラパーツにそのまま取り付けると浮いてしまう部分があるのだ。キット指定のまま組み込んでも高密度で華やかな仕上がりだが、個人的には全体に情報の粒度を揃えたい。